ハインラインの「宇宙の戦士」とかディックの「まだ人間じゃない」とかいいような気がするんだけどな。

特に、「宇宙の戦士」のデュボア先生の授業のあたり。

「きみが罰しもしないで、ただ仔犬を怒鳴ってばかりいたとする。仔犬に家の中で、したいほうだい大騒ぎさせておく……そしてときどき、戸外の犬小屋へ閉じこめるが、すぐに、いたずらしてはいけないよ、などと言い聞かせて家の中に入れてやる。そしてある日のこと、きみはその犬がもうすっかり成犬になっているが、まだ家の中でいたずらするのをやめないでいることに気がつく……そこで鉄砲を持ちだしてきて射殺してしまう。さあ、これに対する意見は?」
「そんな……そんな無茶苦茶な犬の飼いかたなんか聞いたこともありません」
「わたしも賛成だ。子供だって同じだろう。こうなったのはだれの失敗なんだね?」
「え……もちろん、ぼくだろうと思います。」
「これも同感だ。ただしわたしは、だろうと思ったりはしないがね」

「わたしは"青少年非行者"とは用語そのものが矛盾しているということをきみに話したな。"非行者"とは"義務を怠る者"の意味なのだ。しかし、義務とは、成人の美徳だ……だからこそ、人間が義務という知識を獲得し、生まれながら持っている利己的な愛情よりもなお一層の愛情をこめて抱きしめるとき、そのときこそ、青少年が成人に達したときなのだ。"青少年非行者"などというものは存在せず、あり得ないものなのだ。しかし、すべての少年犯罪者には、つねにひとり、あるいはそれ以上、大人の犯罪者が混じっているものだ……義務を知らないか、それとも知っていながら失敗してしまったか、どちらかの、成年に達したものどもなのだ。
そしてこれが、多くの点で讃歎すべきものであった文化を破壊してしまった弱点だったのだ。街をのさばり歩く年少者の愚連隊は、より大きな疾病が存在する徴候なのだ。その時代の市民たち(かれらはみなそのように称したのだが)、かれらは"権利"と称する神話を讃美した……そして、かれらの義務の進路を見失ってしまった。そんなことになってもまだ存続できるほどにまで組織された国家など、どこにもあり得ないのだ」

Wikipedia でディックの経歴見てある意味すごいなと思った。 作品の推移にも出てんのかなぁ。 ラヴクラフトもそうだけど、作家にはこういう「見えてる」人が必要だよなぁ。