ドグラ・マグラ
- 作者: 夢野久作,バラエティ・アートワークス
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: 文庫
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具体的に書くと、元のドグラ・マグラに以下の操作をほどこすと、この漫画になります。 多分、大幅にネタバレをふくむので注意。まぁ、違いをあげるだけでドグラ・マグラについてちょっとわかっちゃうぐらいだってことだよ…。
- 狂気をぬく
- 胎児の夢について省略
- 脳髄論を省略
- チョンガレとかもちろん省略
- 「脳はモノを考えるところにあらず」なんて出てこない
- 狂人の解放治療に関するあれこれをほとんど省略
- 狂人の解放治療場にいる人達の解説を省略
- 鍬をずっとうってる人の解説を省略
- モヨ子について大幅に省略
- ブウウーーーーーンンンーーーーーーーーーーンンンン を強調したりはしない
- 若林と正木の対立構造を省略
- 主人公が学生服を着た理由とかを省略
- 呉一郎が海岸で巻物を見ているところを見つけた時、巻物には文字が書いてあることにする
- 巻物の最後の部分とか省略
- 巻物の死体は着物を着ていることに
- 呉青秀とか、妻とか、妻の妹とかの心理解説は省略
- 真実を書かないなんてことはしない、辻褄があう感じにしちゃう
- 正木の自殺理由とか省略
- 齋藤先生にいたってはいなかったことに
- あんまり唯物科学が嫌いな感じは出さない
- 最初の事件で呉一郎が母について考えたあれこれとか省略
- 巻物がどんな経緯で寺から呉一郎まで行ったかなどを大幅省略
- 巻物の絵のまわりにも字を書いてみる
- 「もう少ししたら面白いようにズブズブにモヨ子が腐っていきますから」とか言っちゃう。(多分、ここで「モヨ子」って言っちゃうのはいかんはずだ)
- お昼のドンはブザーに
- 若林が全然あやしくなくなっちゃう
これじゃあただの怪奇短篇小説だよ。
「親しみやすい「まんが」で名著の作品世界をお楽しみ下さい。」ってどこにドグラ・マグラの世界が残ってるんだよ。「この漫画はフィクションです、実際の本とは一切関係ありません」レベルだよ。これが商業ってやつなんですか。 こんなことするくらいなら、国会図書館でしか読めなくなってもいいです。
つうか、「ツァラトゥストラかく語りき」もまんがにしてるのはなんなの? 自虐ネタなの? 自己パロディなの? 高度な釣りなの?
;; 絵ももっと狂気を出せるようにしようよ…。 久米田とかな感じでもいいから。